.jpg)
建物の外壁や窓枠、浴室などの隙間を埋める「シーリング」や「コーキング」。
これらの言葉を耳にする機会は多いものの、両者の違いを正確に説明できる人は少ないかもしれません。
見た目が似た作業や材料に使われるこれらの用語は、しばしば混同されがちですが、実はそれぞれに意味合いや背景が存在します。
今回は、これらの用語の根本的な違いから、なぜ混同が生じやすいのか、そして現在の使われ方までを掘り下げ、用語の理解を深めていきます。
シーリングとコーキングの根本的な違い
シーリングは目的や工法、コーキングは手法や材料
シーリングとは、建築物の外壁、窓サッシ周り、内装の目地など、建材と建材の間に生じる隙間を埋めて防水性や気密性を高め、さらには意匠性を向上させる「目的」や「工法」全体を指す言葉です。
一方、コーキングは、元々は「コーキング材」と呼ばれる充填材そのもの、あるいはその充填材を隙間に「詰め込む(caulking)」という「手法」や「材料」を指す言葉として使われてきました。
つまり、シーリングという広い概念の中に、コーキング材を用いた充填作業が含まれる、と理解すると分かりやすいでしょう。
JIS規格ではシーリングが正式名称
日本工業規格(JIS)においては、これらの目地や隙間を埋めるための材料およびその施工法は「シーリング」という名称で統一されており、これが公的な場や専門分野における正式な用語となっています。
JIS A 5758「建築用シーリング材」といった規格名からも、その位置づけが明確に示されています。
この規格は、シーリング材の性能や試験方法を定めており、建築物の品質を保証する上で重要な役割を果たしています。
英語由来のコーキングからJIS規格のシーリングへの変遷
「コーキング」という言葉は、英語の「caulking」に由来し、元々は船の板の隙間を埋める防水処理などに用いられていた技術を指していました。
日本においては、この「コーキング」という言葉が長らく一般的に使用されてきましたが、建築技術の進展とともに、より広範な目的や工法を包括する言葉として「シーリング」が普及し、JIS規格でも正式名称として採用されるに至りました。
この名称の変更は、技術の標準化と国際的な整合性を図る上での流れと言えます。.jpg)
シーリングとコーキングが混同される理由と用語の現状
充填作業と材料が一体で呼ばれるため
シーリングとコーキングが混同されやすい主な理由の一つは、本来「手法」や「目的」を指すシーリングと、「材料」や「作業」を指すコーキングが、実際の現場で区別なく、あるいは一体のものとして扱われることが多いためです。
例えば、コーキング材を充填する作業そのものを指して「コーキング工事」と呼ぶ一方で、その作業の目的である目地埋め全体を「シーリング」と呼ぶため、どちらがどちらを指すのかが曖昧になりやすいのです。
現場ではコーキングも依然として使われる
JIS規格で「シーリング」が正式名称として定められているにもかかわらず、建設現場やDIYの現場、さらには一部の専門家や職人の間では、依然として「コーキング」という言葉が広く使われています。
これは、長年の習慣や、充填材そのものを指す言葉として「コーキング」が馴染み深いこと、また、一部のメーカーが製品名に「コーキング」を使用していることなどが背景にあります。
古い慣習や文献でコーキングが残る
建築業界の歴史を紐解くと、古くから使われてきた「コーキング」という用語が、過去の設計図書、工事記録、専門書、さらには一部の建築基準やマニュアルなどに記載されていることが少なくありません。
これらの古い資料が参照される場面や、業界内に根強く残る慣習によって、「コーキング」という言葉が現代でも一定の影響力を持ち続けていると考えられます。
そのため、最新の規格や一般的な呼称とは異なる用語が、現場や文献の中に混在している状況が見られます。
まとめ
「シーリング」と「コーキング」は、目的や手法を指す「シーリング」と、材料や作業を指す「コーキング」という根本的な違いがあります。
JIS規格では「シーリング」が正式名称とされていますが、「コーキング」という言葉も、充填材そのものや作業を指す言葉として、現場や古い文献を中心に依然として広く使われています。
この用語の混同は、作業と材料が一体で認識されやすいことや、長年の慣習、古い記録などが影響しています。
両者の意味合いと現状を理解することで、より正確なコミュニケーションが可能になるでしょう。


