Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

塩ビ鋼板塗装の注意点とは?ブリード現象と下地作りのポイント

お知らせborder

コラム

塩ビ鋼板塗装の注意点とは?ブリード現象と下地作りのポイント
塩ビ鋼板塗装の注意点とは?ブリード現象と下地作りのポイント
建物の外壁や屋根、シャッターボックスなど、私たちの身の回りには塩ビ鋼板が数多く利用されています。
その耐久性や意匠性は、建物を長持ちさせ、美しく保つ上で大きな役割を果たしています。
しかし、塩ビ鋼板の塗装においては、他の金属系建材とは異なる特有の注意点が存在します。
適切な知識なしに塗装を行うと、予期せぬ不具合が生じ、せっかくの塗装が台無しになってしまう可能性もあります。
今回は、塩ビ鋼板の基本的な知識から、塗装を行う上で特に注意すべき点について解説します。


塩ビ鋼板とは


塩ビ鋼板の素材と特徴

塩ビ鋼板は、原板となる亜鉛メッキ鋼板などの金属板に、軟質塩化ビニル樹脂をコーティングした建材です。
この塩化ビニル樹脂コーティングにより、素材自体に耐候性や耐食性が付与されており、腐食しにくいという特徴を持っています。
また、塩化ビニル樹脂には柔軟性を保つための可塑剤が多く含まれていることも、素材の特性として挙げられます。


塩ビ鋼板の用途

塩ビ鋼板は、その優れた耐候性と加工性から、建築分野で幅広く活用されています。
具体的には、住宅などの一般建築物の内外装材として用いられるほか、外壁材、屋根材、軒天(のきてん)、破風板(はふいた)、鼻隠し、幕板、シャッターボックス、水切り、庇(ひさし)といった、建物の外装部分で多く採用されています。


塩ビ鋼板とカラー鋼板の見分け方

塩ビ鋼板と、塗装されたカラー鋼板(塗装鋼板)は、見た目が似ている場合もありますが、いくつかの違いで見分けることができます。
塩ビ鋼板は、金属板の上に塩化ビニル樹脂がコーティングされているため、カラー鋼板などの薄い鋼板と比較して厚みがあるのが一般的です。
また、表面にエンボス調の模様(凹凸)が見られることが多く、指で軽く叩いた際の金属音も、カラー鋼板に比べて鈍く聞こえる傾向があります。
これらの点に注目することで、塩ビ鋼板かどうかを判断する手がかりとなります。


塩ビ鋼板塗装の注意点

塩ビ鋼板は、その素材特性から、塗装を行う際に注意が必要です。
特に、一般的な金属系建材と同じような塗料や工法で塗装を進めてしまうと、後々、塗膜に不具合が生じることがあります。


ブリード現象の発生メカニズム

塩ビ鋼板の塗装で最も注意すべき不具合の一つに、「ブリード現象」があります。
これは、塩ビ鋼板に含まれる可塑剤が、塗装に使用された塗料(特に弱溶剤塗料など)によって表面に移行してくる現象です。
可塑剤が塗膜表面に染み出すと、その部分がいつまでもベタついた状態になり、粘着テープの接着面のような感触になります。
このブリード現象が起こると、汚れが付着しやすくなり美観を損ねるだけでなく、塗膜の耐久性が低下したり、剥がれの原因となったりする可能性が非常に高くなります。


塩ビ鋼板塗装に必要な下塗り材

ブリード現象を防ぎ、塩ビ鋼板に適切に塗装を行うためには、専用の下塗り材の使用が不可欠です。
一般的に「ビニタイトプライマー」と呼ばれる、塩ビ鋼板専用の下塗り材が推奨されています。
これは、軟質塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤の移行を抑制する機能を持つ、強溶剤系の塗料です。
この専用下塗り材を塗布することで、その後の工程で中塗り・上塗りに通常の弱溶剤塗料を使用することが可能になります。
ただし、ビニタイトプライマー自体は錆止め効果を持たないため、下地に錆が発生している場合は、ビニタイトプライマーを塗布する前に、別途、強溶剤系の錆止め塗料を先に塗布する必要があります。


塗装前の下地確認事項

塗装前の下地確認は、どのような素材であっても重要ですが、塩ビ鋼板の場合は特に、塩ビ被覆層の状態と下地の金属板の状態を注意深く確認する必要があります。
塩ビ鋼板の耐用年数が経過し、劣化が進むと、塩化ビニルコーティングが剥がれてしまうことがあります。
もし、塩ビ被覆が剥がれて下地の鋼板が露出している場合は、その部分に錆が発生していないかを確認し、錆がある場合は適切な錆止め処理を行う必要があります。
また、塗装面全体の汚れや油分、旧塗膜の浮きや剥がれなども、塗装の仕上がりや耐久性に影響するため、丁寧に点検・清掃することが大切です。


まとめ

建物の外装において広く利用されている塩ビ鋼板は、その耐久性から多くの場面で活躍していますが、塗装を行う際には特有の注意が必要です。
塩ビ鋼板の素材に含まれる可塑剤が塗料に移行し、塗膜がベタつく「ブリード現象」は、見た目の悪化だけでなく、塗膜の耐久性低下にもつながるため、十分な対策が求められます。
この現象を抑制するためには、塩ビ鋼板専用の下塗り材である「ビニタイトプライマー」の使用が効果的です。
また、塗装前には、塩ビ被膜の剥離や素材自体の錆の有無といった下地の状態をしっかりと確認し、必要に応じて適切な錆止め処理を行うことが、長期的な美観と機能を保つ上で重要となります。
塩ビ鋼板の特性を理解した上で、適切な材料と工法を選択することが、成功する塗装の鍵となります。